アウトサイダー
「紗知!」
混乱した私を強い力で抱き寄せたのは、永沢さんだった。
「紗知、しっかりしろ!」
「どけっ、紗知は俺の女だ」
彬さんが引き離そうとしても、永沢さんは私を抱き寄せる手を少しも緩めない。
「大丈夫だからな、紗知。お父さんはいない」
私の耳元で優しくささやかれるその言葉に、我に返った私は小さく頷いた。
そして、彬さんの方に顔を向けた永沢さんが、冷静に口を開いた。
「彼女がかつて心に思っていた人がいることは、俺も知っている。
だから、あなたが紗知に怒りをぶつけたことも。
失礼だが、そんな君に彼女を守るのは無理だ」
「失礼なのは、どっちだ」
私は怖くて怖くて、目を閉じてただ荒い息を繰り返す。