アウトサイダー
「斉藤のとこだろ。紗知も行くんだぞ?
大体、斉藤なんて、俺はいらないから紗知をよこせってうるさいったらありゃしない」
大きな鞄を持って立ち上がる彼に、私も慌てて立ち上がる。
皆の好奇の目が降り注ぐけれど、永沢さんは素知らぬ顔だ。
「行ってきます」
小さな声であいさつをして、彼と一緒に事務所を後にした。
永沢さんの車に乗り込むと、すぐに彼が口を開いた。
「驚かせて悪かったな。
だけど、これが一番いいと思ってさ。
一緒に住んでいることなんて、すぐにばれるし。
なんて……俺の勝手な言い分だけど」
実に落ち着いた口調のせいで、さほどすごいことだと思えないけれど、いやきっと事務所のみんなにとっては驚くべきことだ。