アウトサイダー
「なにもないなら失礼するよ。行こう、紗知」
「あっ、はい」
そう言われるまで一体何秒あったのかはわからない。
だけど、私と太陽の視線が絡まって、そこから逸らすことすら許されないような威圧感もあって、息をすることすら忘れそうだった。
永沢さんが私の手を引いて、彼の前を通り過ぎようとしたとき、やっと聞こえる小さな声で私の名が呼ばれた。
「紗知……」
それは、まぎれもなくあの頃と同じ彼の声。
ほんの少しだけ低くなったようなその声は、いつまで経っても忘れることができないでいる、あの頃と同じ優しい音色。