アウトサイダー

きっと私の目は赤くなってしまっていただろう。
百合さんの前を通ったとき、彼女は不思議そうな顔で私を見つめた。

けれど、私は彼女の視線が辛くて、挨拶すらすることができなくて……顔を伏せたまま斉藤建築事務所を出た。


「紗知」


車に放り込むようにして私を座らせた永沢さんは、少し強い口調で話し出す。


「なにがあった?」

「いえ、なにも」

「それじゃあ質問を変える。どうして、泣いている?」

「それは……」


それから口を開くことのできない私を、彼は辛抱強く待ち続ける。
だけど……。


「とりあえずここから離れよう」


ここでは口を開かないと感じた彼は、彼の部屋へと車を走らせた。


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