金色のネコは海を泳ぐ
「お姉ちゃん!?」

翌朝、いつもより遅くリビングに顔を出したルーチェを見て、アリーチェが悲鳴を上げた。

「おはよう……」

ルーチェはのろのろと自分の席について、コーヒーを啜った。

「お、お姉ちゃん、すごいクマだよ?大丈夫?」
「うん、薬を作ってたの」

昨夜、眠れそうになかったルーチェは一晩中調合室にこもってジュストのための薬を作っていた。先ほどようやく完成したが、効果があるのかはわからない。どちらかというと、期待はしない方がいいだろう。

「薬、って……テオの?」

あぁ、そういえば惚れ薬のことはすっかり忘れていた。ジュストのことばかり考えていて……

「ううん。違う薬……それも、作らなきゃ」

テオはいつ取りに来るのだろうか。それを聞くのも忘れていた。

「ジュ――オロは?帰ってないの?」

空っぽのオロのお皿を見てルーチェが問うと、アリーチェは肩を落として首を横に振った。

「今日、学校の帰りに探してくるから」
「うん……ごめん、私、やっぱりちょっと寝る」

ルーチェは朝ご飯に手をつけないまま立ち上がった。今日は診療所が定休日なので研修もない。いつもならトラッタメントの鍛錬や筆記試験対策をするけれど、今日は集中できないだろう。
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