金色のネコは海を泳ぐ
――数週間後。

「ま、待って!ホントに待って!無理無理ムリムリむりぃぃぃぃ」

自宅の庭で、ルーチェが叫ぶ。

「お姉ちゃん、うるさい。患者さんの身体に障るでしょ!」
「だ、だって、さすがにそれは無理!」

じりじりと後ろへ下がりながら、ルーチェは鉄のバットを持ったアリーチェとの距離を取る。だが、アリーチェも同じ速度でルーチェに向かって歩くので、距離は変わらない。

アリーチェの足元には太陽に照らされてやはり金色に見えるオロ。

「じゃあいいの?試験で骨の修復が出たらまた落ちるよ?」
「そ、そうかもしれないけど!ほ、骨は無理!」

ルーチェはブンブンと音がするほど首を横に振った。庭の隅に追い詰められて、アリーチェとの距離が縮まっていく。

「オ、オロぉ」

助けを求めてオロを見るが、オロは「にゃぁん」と可愛く鳴いてみせるだけ。

「どうせすぐお母さんが治すんだから少しくらい我慢しなよ、お姉ちゃん」
「あ、あんた!他人事だと思ってっ」

ルーチェが叫ぶと「だって他人事だし」とアリーチェは満面の笑みでルーチェの目の前に立った。
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