金色のネコは海を泳ぐ
次の日のお昼には、ジュストの宣言通りグラタンが振舞われた。

「ルーチェ、おいしい?」
「ん……」

微かに頷くと、ジュストはふふっと笑ってルーチェのグラタン皿を敷台ごと引き寄せてスプーンで大きな海老をすくってルーチェの口元に差し出した。

「な、何……?」

ルーチェが驚いて顔を上げるとジュストがクスッと笑う。なんだか笑い方が以前図書館で会ったユベール王子に似てきた気がする。

「あーん」
「し、しないよ!」

ルーチェは恥ずかしくなってパッと顔を逸らした。

「あら、いいじゃないの。グラートも若い頃はしてくれたのに、今は全然よね」

ブリジッタが大きくため息をつき、グラートは耳を赤くしてわざとらしく咳払いをした。

そりゃあ、若い恋人ならするかもしれないがさすがに今は……目の前で両親が“あーん”なんてしているところを見るのはルーチェも恥ずかしい。やってもいいとは思うが、2人きりのときにして欲しい。

「ルーチェ、冷めちゃうよ。早く、あーんして」
「しないってば!スプーン返して」

スプーンを取り返そうと手を伸ばしても、ジュストはそれをひょいっとかわしてしまう。

「ダメ。婿は、嫁にあーんしたららぶらぶだって」
「……私、まだジュストの嫁じゃないよ」

ルーチェが眉を顰めると、ブリジッタがプッと噴き出した。
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