金色のネコは海を泳ぐ
「やだ、ジュストくん。もっと早く言ってくれたらお祝いしたのに……18歳でしょう?1番盛大にしなくちゃいけない誕生日だわ」

ブリジッタが頬に手を当てて困った顔をする。

マーレ王国では18歳から成人とみなされる。確か近隣諸国はほとんどがそう定めてあったと思う。そのため、18歳の誕生日は豪華なお祝いをするのだ。

「僕、誕生日にパーティすること知らなかった。お城では皆いつもパーティしてたもん」
「王族って贅沢なのね。まぁでも、ジュストはまだ“成人”って感じじゃないよね」

クスクスと笑うアリーチェはいつのまにかキッチンからナイフを持ってきていて、ケーキを切り分け始める。

「僕、セイジンなの?婿じゃなくて?」
「成人っていうのは大人のことだ。婿にもなれるようになる年だぞ」

ジュストの問いにはグラートが答える。

「へぇ。なんだかいっぱいやることがあるね。婿になるのは大変なんだ」

ジュストは席に座ってケーキを食べ始めた。苺を真っ先に食べているのを見て、ルーチェは思わず笑う。

ルーチェは好きなものは最後までとっておきたいタイプだ。けれど、ジュストは好きなものは1番に食べる。何事にも真っ直ぐな彼の性格が表れている気がする。
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