金色のネコは海を泳ぐ
「ルーチェ!僕ね、学校に行く!」
「わぁっ!?」

ジュストがルーチェのいる診察室に入ると、ルーチェはジュストも知っている市場のおばさんを診ているところだった。

そういえば、数日前に会ったときに腰が痛いと言っていた。

「あら、ジュストくん。そんなに慌てて……でも、ここは診療所だから静かにしないとダメよ?」

クスクス笑ったおばさんは、ちょうど診察が終わったところのようでルーチェにお礼を言って診察室を出て行った。

「ジュスト、どうした?学校に行くって……?」

ルーチェの監督をしていたグラートがジュストを診察椅子に促して、ジュストは素直に従った。

「うん。あのね、婿になるには高学歴と高収入が必要なんだ。だから、僕、学校に行きたい。あと、いっぱいお金をもらえるところってどこ?」

ジュストが聞くと、グラートは「うーん」と少し唸った。

「あのねぇ……いくらお父さんと勉強してるからって、義務教育を受けてないジュストが“学歴”にカウントされる学校に行くのは無理よ」

ルーチェがカルテを書きながら呆れた声を出す。

「でも、それじゃあ僕はルーチェの婿になれないよ!」
「だって、別に……それは…………っ、もう、いいでしょ?今は診療時間だよ。ジュスト、出て行って」

ルーチェはジュストに視線を向けないまま、次の患者さんを呼んでしまい、ジュストは肩を落として診察室を出た。
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