金色のネコは海を泳ぐ
その日の夜。

「ジュスト、学校のことだが……」
「うん!僕、学校、行ける?」

夕食の後、グラートとソファに座って勉強をしていたジュストは“学校”という言葉に胸が弾んだ。

「いや……あのな、ジュスト、籍がないだろう?本国のルミエール王国でも死んだことになっているんだろう?」
「セキ?僕は風邪も引いてないし、生きてるから学校にも行けるよ」

クラドールであるグラートがそんなことをわからないはずがないのに、変なことを聞く。

「咳じゃなくて、籍。ジュストがどこの人間かを証明するようなものだな」
「僕はルミエール王国からきた、ルーチェの婿だよ?」

いや、学歴と収入がないからまだ婿にはなれないのだった。

そう考えたら思わずため息が漏れた。

「それは、俺たちはわかるが……他の人には理解するのが難しいことなんだ。本当なら、お前がマーレ王国にいることだっておかしいんだから。わかるか?」

それは、わかる。

ジュストは……普通に生きていたらルミエール王国で“王子”として暮らしていただろう。たとえ、それがジュストの望んだことではないにしても、だ。

望んだことではない――その考えに、なんだか頭の中でチカッと光が弾けた気がした。

「……?」

なんだろう?
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