金色のネコは海を泳ぐ
シン、と静まり返ったリビング。

一国の君主には不釣合いなはずの一般家庭の小さなソファに座るエミリー女王は、先ほどからニコリともしない。それは、彼女の後ろに控えているクロヴィスも同じ。

そんな2人の向かいに座るのはブリジッタとグラート。

ルーチェとジュストは彼らの左側に……床にクッションを敷いて座った。

「単刀直入に言います」

ようやく口を開いたのはエミリー女王だった。ハキハキとした強い口調――これが女王の威厳、というものなのだろうか。

「ジュスト、ルミエール王国へお戻りなさい」

その言葉が耳に届いた瞬間、ルーチェは階段から突き落とされたような感覚に陥った。

一瞬の浮遊感、そして心臓が音を立てて走り始める。

予想はしていた。

女王が自らこんな小さな家庭に訪れるなど、それだけで重大なこと。だが、それを実際に言葉で聞くとショックで。

「どうして?僕はもう死んだことになってる」

ジュストがそう言うと、エミリー女王はキッとジュストを睨み付けた。
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