金色のネコは海を泳ぐ
「うーん、そうじゃなくてさ……まぁいいや。えっと、『ほら、こうやって光に言葉を乗せて直接話しかけるんだよ』」

ユベール兄様の声が頭に響いてくる。

ほら、って言われても良くわからないんだけど。

『気は練れるんでしょ?光属性のセントロは額にあるからそこに意識を持っていって、気で矢を作るみたいにして言葉を送るんだよ』

気、って……チャクラのことだよね?なんだか難しいなぁ。

「にゃぁ」

おでこにチャクラを集めてみるけど、ちょっとおでこが熱くなるだけで何にも起こらない。

「まぁ、そのうちできるようになるよ」

ユベール兄様はクスクス笑って僕を撫でた。

む……

「そんな顔しないでよ。僕、呪文を教えるとかしたことないし。あとは自分で練習してよ。僕はそろそろ帰らないといけないし……ほら、あの子も出てきたよ」

ユベール兄様が指差した方を見ると、ルーチェは分厚い本を2冊持って図書館から出てきたところだった。

急いで駆け寄って話しかけてみるけど、やっぱりダメみたい。
< 89 / 268 >

この作品をシェア

pagetop