金色のネコは海を泳ぐ
「クッキーならまだあるから。持ってこようか?」
「…………」

テオは目を見開いたまま、ルーチェの食べかけのクッキーを見ている。

確かにこれは最後の1枚だったけれど、そんなに熱い視線を送らなくてもまだまだキッチンにたくさんある。なんなら、持ち帰ってもらってもいいくらいブリジッタが作り置きをしているのだから。

「ちょっ!」

立ち上がったルーチェの腕を、テオが掴む。

「何?クッキー持ってくるよ?」
「そうじゃなくて!俺は今、真剣に告白したよな?」

もちろんだ。真剣にクッキーが好きだと告白された。

「うん、だから――」
「違う!俺が言いたいのは付き合ってってことだよ!」

“付き合って”

「どこに?あぁ、このクッキーは買ったものじゃなくてお母さんの手作りなの。気に入ったなら持って帰る?」

そんなにブリジッタの手作りクッキーを気に入ってくれたなんてルーチェも嬉しい。ルーチェは鼻歌を歌いながらテオの緩んだ腕をスルリと抜けてキッチンへ向かった。
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