ダブルスウィッチ
「えぇ、でも……ありがとうございます

とても大切にしてるので、気になってて……」


「大丈夫よ、わざと枯らしたりしないから」


つい嫌味っぽくなってしまって、彩子は慌てて取り繕うように続ける。


「観葉植物、好きなのね?」


「はい、こんな狭い部屋でも癒しになってくれて、集めるのが趣味みたいになっちゃいました」


妻と愛人という立場でありながら、なぜかこんな風に普通に会話していることが彩子は不思議だった。


話があるというのが、まさか観葉植物のことじゃないだろうに……と。


「それで?話って?

先に言っておくけど、元に戻りたいって話ならお断りするわ

少なくとも3ヶ月は頑張ってくれなきゃ意味がないでしょう?」


「3ヶ月なんて無理です

私には勤まらないって、わかってて言ってますよね?

お願いします!
私の体、返してください

もし今、元に戻ってくれるなら……私、亮介さんとは別れます」


そんなに簡単に別れると言えるえみりに、彩子は嫌悪感を抱いた。


あなたの彼に対する気持ちはそんなものなの?と。


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