ダブルスウィッチ
「あなたと亮介さんを繋ぐものって……なんなんですか?」


もしかしたらこの子は自分を理解しようとしてくれているのかもしれないと彩子は思った。


悔しいけれど、この子の目は哀れみに満ちている、と。


自分の顔で同情されるなんて皮肉なものだと思いながら、彩子はゆっくりと口を開いた。


「繋ぐもの……ね?

あなたの言う通り、私たちの結婚は最初から普通じゃなかった

結婚相談所で知り合って、あの人の出した条件を呑むことで結婚……出来たの」


「条件……ですか?」


「そう、条件……

紙に書いたその条件を読んで、それを受け入れるならサインをするように言われたわ」


「それは、どんな条件だったんですか?」


「ありとあらゆることが細かく書かれていたけど、あなたが不思議に思ってることの答えとしては、離婚しないことっていう項目が入っていたわ」


えみりが息を呑むのがわかった。


なぜ、亮介にこだわるのか、抗わないのか、そう思っていたことが、覆されたのだ。


驚くのも無理はない。


彩子が出ていかない理由。


それは自分の意思ではなく、契約によるものだったのだから……

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