ひとつ、ベッドの中
「詩織を河村以上に守ってやれる男になりたくて、平気なフリした……」

「宏太君……」

「俺は……詩織が好きだから、河村を殴ったら俺が負けを認めると思って、殴れなかった――」

「……」

「所詮、俺ってそんな男」


そう言って、いつものようにハニかんだ。


「ううん」


宏太君が、いい人すぎて。


こんな優しい人だったのに、それに応えられなかった自分が情けなくてたまらない。



あたしは宏太君を真っ直ぐ見た。

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