ひとつ、ベッドの中
「詩織のトラウマ……知ってるのに、本当のことが言えなかった。もう知ってるよな、あのサイレンは、俺の家のものだったって……」


…いいの。

そんなの、どうだっていいの。


「記憶のすり替えまで起こすほど重症なのに、それでも詩織を繋ぎとめたくて……酷い男だろ」


苦しそうに紡ぐ凌ちゃんの声は、細くなる一方で。


「でも分かってたんだ。俺じゃ詩織を幸せに出来ないって」


それが。

あたしの理想を押し付けた故の結果だったなんて……。


「俺は、幸せな家庭で育ってな――」

「凌ちゃん!」


その先を遮った。

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