ひとつ、ベッドの中
愛おしくて愛おしくて、でも絶対に手が届くはずなんてないと思っていた凌ちゃんが……


もう、夢を見ているみたいだった。



「詩織が欲しい―…」


この上ない甘い囁きとともに、体の中に感じる凌ちゃんの体温。


一つに繋がって。

あたしの真上で揺れる、凌ちゃんの体。


「……凌……ちゃ……愛してるっ……」


声を出していないと、意識が飛んでしまいそうになるほどの波に襲われながら。


世の中に、こんなにも嬉しい痛みがあるってことを初めて知った。



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