ひとつ、ベッドの中
離婚が決まってから、お母さんの周囲は前にも増して慌ただしくなった。


離婚のことで、一時期はあたしに悪いと思ったのか目を向けてくれていたけど。


三月は、会社も決算で忙しい。

ここのところ帰りも遅いお母さんが、あたしに関心をなくすのは時間の問題だった。



そんな約束をしたことだって、到底覚えてないだろう。



あたしは今のまま、あの家でお母さんと暮らすことになる。


別にお父さんが愛人を作ったわけじゃない。


だからどちらについても良かったけど。


環境を変えたくなかった。


何より、凌ちゃんと離れるなんて考えられないから。


ようやく、思いが実ったのに。


そんなこと出来っこない。

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