ひとつ、ベッドの中
ここでようやくすべてが分かった。


一緒に駆け落ちしてくれるって言ったのに。


始めからそんなつもり、なかったのだと。




大きな落胆があたしを襲う。


希望の光も何もかも失った目で、凌ちゃんの背中を眺めた。



「朝早くから何かしら、忙しいのよ」


挨拶はもう済んだのだろうか。


目の前にいるのが、きっと“河村家の息子”であることが分かった様子のお母さん。


目も合わせずに、身支度に手を動かす。


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