FatasyDesire~ファンタジー・ディザイア~
次の客を迎えに行く為に、B区に向かった。
次の女は中々我の強い女で、恋人もいなければ家族もいない娼婦だ。
自分と同じ職業の女。
見た目はスレンダーで黒のショートカット、目元がキツイ印象を与える顔立ちだ。
褐色の肌がとても印象的なクレドと同じ年の女。
クレドと同じ境遇の彼女に、親近感を覚えているのも事実で、フォレストの女性の友人と言えば、そのシャルレくらい。
気心の知れた仲でもあるし、たまにシャルレの慰みともなる対象ともなる。
自分が客にキリエへの想いをぶつけるように、シャルレもまたクレドを誰かと重ねる為に買う。
ペンダントのロケットには、幼い頃のクレドとキリエの写真が入っていて、昔キリエにあげた同じものだ。
それを毎晩見て、何年も会っていない、声を聞いていない彼女を忘れないようにする。
フォレストB区の待ち合わせ場所に着いた時には、もうシャルレは先に着いていたらしく、建物の壁に背を預けて不機嫌そうな顔をしていた。
「シャルレ」
「遅い」
クレドに気付いたシャルレは開口一番に文句。
それも慣れっこで、むしろそれでこその彼女だから、気にしていない。
シャルレはクレドの隣に行くと、腕を組むわけでもなく、先に3万カイルが入った封筒を彼に手渡した。
ベッドの上でしか引っ付いてこないシャルレは、外では至って普通の友人で微塵も女を匂わせない。
「どーも」
「今日は30分で良いから、残りの30分くらい食事に付き合ってよ」
「ああ、わかった」
珍しくもない要求に返事をしてから、クレドはシャルレに背を向けてそこから歩き出そうとした。
しかし、突然人混みの中から飛び出してきた小さな身体が、勢い良くクレドに向かって衝突しそうになった。
目敏く、瞬時にその身体を跳ね返そうとしたが、それが被っていたボロ切れのようなフードが風で髪の毛を現した瞬間―――彼は目を見開いた。
さっきスピカの色男が言ってたいた噂の"阿婆擦れ"かと思ったのだ。
だが実際見えたのは、昔よく撫でた覚えのある、クリーム色の柔らかそうな長い髪の毛――。
クレドは確信も持てないまま、その小さな身体を受け入れた。
ドンッと突進してきた小さな身体。
受け入れてからハッとなったが、自分の身体が刺された感触はなく、ぶつかってきた衝撃だけがある。
「クレド!」
隣のシャルレは、いつもと違う彼の反応に驚いたように声を上げる
いつもの彼ならば、間違いなくその身体を突き飛ばして自分の身を守っただろう。
彼女はそんな彼の反応を怪訝そうに眉を顰め、その小さな身体を突き飛ばそうとした。
「やめろ!!」
彼は褐色の細い腕をすぐさま掴んで放すと、腕の中にいるそれの両肩をそっと掴んだ。
「――キリ、エ……?」
自分の手と声が震えるのがわかる程、クレドは動揺する。
次の女は中々我の強い女で、恋人もいなければ家族もいない娼婦だ。
自分と同じ職業の女。
見た目はスレンダーで黒のショートカット、目元がキツイ印象を与える顔立ちだ。
褐色の肌がとても印象的なクレドと同じ年の女。
クレドと同じ境遇の彼女に、親近感を覚えているのも事実で、フォレストの女性の友人と言えば、そのシャルレくらい。
気心の知れた仲でもあるし、たまにシャルレの慰みともなる対象ともなる。
自分が客にキリエへの想いをぶつけるように、シャルレもまたクレドを誰かと重ねる為に買う。
ペンダントのロケットには、幼い頃のクレドとキリエの写真が入っていて、昔キリエにあげた同じものだ。
それを毎晩見て、何年も会っていない、声を聞いていない彼女を忘れないようにする。
フォレストB区の待ち合わせ場所に着いた時には、もうシャルレは先に着いていたらしく、建物の壁に背を預けて不機嫌そうな顔をしていた。
「シャルレ」
「遅い」
クレドに気付いたシャルレは開口一番に文句。
それも慣れっこで、むしろそれでこその彼女だから、気にしていない。
シャルレはクレドの隣に行くと、腕を組むわけでもなく、先に3万カイルが入った封筒を彼に手渡した。
ベッドの上でしか引っ付いてこないシャルレは、外では至って普通の友人で微塵も女を匂わせない。
「どーも」
「今日は30分で良いから、残りの30分くらい食事に付き合ってよ」
「ああ、わかった」
珍しくもない要求に返事をしてから、クレドはシャルレに背を向けてそこから歩き出そうとした。
しかし、突然人混みの中から飛び出してきた小さな身体が、勢い良くクレドに向かって衝突しそうになった。
目敏く、瞬時にその身体を跳ね返そうとしたが、それが被っていたボロ切れのようなフードが風で髪の毛を現した瞬間―――彼は目を見開いた。
さっきスピカの色男が言ってたいた噂の"阿婆擦れ"かと思ったのだ。
だが実際見えたのは、昔よく撫でた覚えのある、クリーム色の柔らかそうな長い髪の毛――。
クレドは確信も持てないまま、その小さな身体を受け入れた。
ドンッと突進してきた小さな身体。
受け入れてからハッとなったが、自分の身体が刺された感触はなく、ぶつかってきた衝撃だけがある。
「クレド!」
隣のシャルレは、いつもと違う彼の反応に驚いたように声を上げる
いつもの彼ならば、間違いなくその身体を突き飛ばして自分の身を守っただろう。
彼女はそんな彼の反応を怪訝そうに眉を顰め、その小さな身体を突き飛ばそうとした。
「やめろ!!」
彼は褐色の細い腕をすぐさま掴んで放すと、腕の中にいるそれの両肩をそっと掴んだ。
「――キリ、エ……?」
自分の手と声が震えるのがわかる程、クレドは動揺する。