ラララ吉祥寺
「コラッ、拓馬、甘えるんじゃない!」
わたしの後ろから、いつからそこにいたのか木島さんの大きな手が伸びてきて、拓馬くんの頭を軽く叩いた。
「えっ? あっ、ご、ごめんなさい」
無理やり起こされた拓馬君が、慌ててわたしから手を離した。
「木島さんも叩くなんてひどいですよ。拓馬君、熱があるんですよ」
急に涼しくなった膝に手をついて、わたしは立ち上がった。
ここはサラリと状況を受け流すのが彼のためだと思ったのだ。
「それとこれとは別だろう。だいたい、いい年してかあさんとは呆れるぞ」
見れば、木島さんは濡れタオルとポカリのペットボトルを手にしていた。
拓馬君を案じて、わたしの後を追って二階に上がってきてくれたのだ。
「拓馬君、目覚めたんなら少し食べない? おじや作ってきたんだよ」
わたしはそう言ってテーブルの上の盆に視線を移した。
「少し食べて、着替えて、兎に角朝までゆっくり寝て。それで熱下がらないようなら明日病院行きましょう」
「はい。ちょっとお腹も空いたし、食べれると思う」
拓馬君は、すっかりいつもの彼に戻って、はっきりとした口調でそう言った。
「食わしてやろうか?」
「いえ、大丈夫、自分で食べれます」
「もう、木島さんてばしつこいですよ」
木島さんのしつこいからかいも、動じることなく受け流しているし。