週末シンデレラ


結局、それからはトラウマについて聞きだすタイミングを逃し、ペンギンのショーも見終わって、水族館の閉館時間十五分前となってしまった。

館内には、閉館前の寂しげな音楽が流れている。

「水族館、楽しかったですね。特にペンギン、かわいかったなぁ」
「ああ、たしかにかわいかった。どことなく、きみに似ている」

係長はサラリとそう言うと、お土産もの売り場の隣にある自販機の前で足を止めた。

「ご飯を予約してある店まで、車で一時間くらいかかるけど、なにか飲まないか?」
「あ、それくらいわたしがします」

運転もしてもらっているし、水族館のチケット代だって出してもらっている。

きっとご飯も係長がしてくれそうな気がしたので、率先して千円札を出した。

だけど、係長はそれを受け取らず、自分のお金を入れてしまう。

「あー……お金をもう入れてしまったよ。きみは、なににする?」
「じゃあ、お茶を。ありがとうございます」

小さく頭をさげ、お茶を受け取った。


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