週末シンデレラ
* * *
係長と恋人として付き合うには、どうしたらいいだろう。
“カオリ”としては断り、“詩織”として近づく……それが一番かもしれない。
ただ“カオリ”と出会う前の係長は、とてもじゃないけど食事や遊びに誘える雰囲気ではなかった。
連絡先を聞くところから始めなくちゃいけないのに、できるかな。
それより、わたしはアドレスも番号も変えなくちゃいけないんだ。マンションはどうしよう……。
次々に浮かび上がる問題。それならば、いっそ正直に話したほうが……。
また同じことをグルグルと考えてしまう。そんなことに頭を使っていたせいか。
「加藤さん、ここの数字が違う」
「きゃっ……」
係長がそばにいたことに気づいていなかった。書類を差し出されて、声をあげる。
書類は消耗品の購入要求書で、武田さんに頼まれてわたしが作成したものだった。
まだ自分の仕事も片づいていなくて、頭も働いていない状態。
じっくり作成する余裕がなかったけれど、入力するだけだと思い、手早く作って経理課へ提出していた。