週末シンデレラ


待ち合わせ場所である居酒屋には、十八時の五分前に着いた。

全席個室で創作和食を出しているお店は、安くて美味しいので人気があり、開店して一時間しか経っていないのに、すでに満席らしい。

店員に案内され、予約してくれていた部屋に入ると、ブラウンの短髪につぶらな瞳をした男性がいた。

「お、きたきたっ」

わたしたちを見るなり、小さな口からニッと白い歯を覗かせる。座っていてもわかる小柄な体格と、あどけない笑顔が少年のようだ。

……この人が、紹介される人だろうか。

そう思ったけれど、男性は麻子へ話しかけた。

「麻子、その子が詩織ちゃん?」
「うん、そう。あ、詩織。この人がわたしの彼氏。お客さんとして来ていた人なの」
「は、初めまして」

個室へ入り、立ったままお辞儀をすると、麻子の彼氏もわざわざ立ちあがって、挨拶をしてくれた。

「あ、どうも。俺は高見一也(たかみかずや)って言います。麻子から詩織ちゃんのことはよく聞いてるよ。かわいくっていい子なのに、周りの目を気にしすぎるから、二十四年間ずっと彼氏がいないって」
「麻子ぉ……」

そりゃ、彼氏がいないから紹介してもらうんだけど。二十四年間っていう情報はいらなかったんじゃないの?

麻子にキッと鋭い視線を向けると、彼女は「ごめん」と両手を合わせたあと、一也さんの脇腹をひじで小突いた。

しかし、一也さんはなんで小突かれているのかわかっていない様子で、キョトンと目を丸くするだけだった。


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