週末シンデレラ
「それで、一也の友達は?」
「ああ、うん。電車が遅れてるって、さっき連絡があったから。もう少し待ってくれる?」
四人席のテーブルに、わたしと麻子が並んで座り、麻子の前に一也さんが座った。
わたしの前には、これから知らない男性が座るんだ……。
「どんな人なの? 大学からの友達って言ってたっけ?」
緊張で鼓動が速くなるわたしをよそに、麻子は一也さんから男性の情報を聞き出している。
「そうだよ。俺と同じ三十歳で、大学のときに知り合って仲良くなって。今もたまに飲みに行くんだよ。口数は少ないけど、間違ったことは言わないし、嘘はつかないし、いい奴なんだ」
「その人も一也と同じSEなの?」
「いや、学部も情報系で同じだったけど、業種は違うよ。かなり大手の情報機器メーカーに就職してる。きっとやり手なんじゃないかな」
どうやら一也さんはシステムエンジニアらしい。……けど、ここに座る人は情報機器メーカーに就職している人。
……わたしと一緒なんだ。
営業や開発部ではないので、製品についてはあまり詳しくないし、他社の製品となればもっとわからない。それでも他の人より、話は合うかもしれない。
口数が少ないみたいだから、そういった話題でちょっとでも打ち解けられたらいいな。
頭の中でシミュレーションをしていると、余計に緊張が高まってきた。
「ご、ごめん……ちょっとお手洗いに」
「わたしも行こうかな。詩織、ついでにメイク直しもしておこうよ」
わたしと麻子は一緒に個室を出た。