週末シンデレラ
「ふぁ……ん……」
舌を擦られ、その刺激に背すじが震えた。
「カオリさん……」
係長がわたしを求め、後頭部に手を回してキツク引き寄せた――瞬間。
「あっ……!」
「なっ……なんだ、これはっ」
タオルとともに、ウイッグが取れてしまった。係長は手に持っている栗色のウイッグを見つめ、茫然としている。
まさか、こんな状況でバレるなんて。
「あの、都筑係長。わたし……っ」
「係長だと? あっ、きみは……!」
ウイッグが取れたわたしの顔を見て、係長はハッと目を見開いた。
「……加藤さん?」
「はい……」
「どういうことだ!? カオリさんは? さっきまで一緒だったのに。なんできみがここにいるんだ。しかも、同じ服装で……」
「係長、わたしが……サトウカオリなんです」
「きみがカオリさん? 言っている意味がわからない」
係長は「信じられない」といった表情で、聞き返してきた。彼の反応はもっともだと思う。
もっと落ち着いた状況で話したかったけど、バレてしまったなら仕方がない。
わかってもらうために、どうやって説明しようかと考えて、口を開いた。