週末シンデレラ
「おい、素っ気なさすぎるぞ。友達からってことでいいじゃん」
「三十歳にもなって、今さら新しい友達がほしいとは思わないな。彼女だって、男友達を求めているわけじゃないだろ」
「だからって、その言い方はないだろう」
「こちらの意思を伝えることのなにが悪い」
「そうじゃなくて、言い方が悪いって言ってんの」
一也さんが素早く怒るが、係長には反省した様子がない。
わたしも腹が立ったけれど、係長に好かれたいわけではないので、べつにどう言われようと構わなかった。
でも、そんなことを知らない一也さんは、自分のことのように怒ってくれている。
……なんだか申し訳ない。
わたしの隣にいる麻子は、子どものようなやり取りをしているふたりを、ハラハラしながら見守っていた。
「か、一也さん、もう結構です。私も都筑かかり……っ、都筑さんと恋愛する気はありませんから」
「詩織ちゃん……」
わたしが場の空気が悪くなるのに耐えられず口を挟むと、一也さんはすまなそうに眉尻を下げた。
都筑係長は依然として表情を変えず、こちらに冷たい視線を送るだけ。
すると麻子が指先で、わたしの太ももをチョイチョイとつついてきた。
「ち、ちょっと……詩織、都筑さんを怒らせたんじゃないの?」
「え、わたしが? なんで?」
「詩織の言い方も、失礼だったと思うけど」
「そ、そっか……」
売り言葉に買い言葉だったとはいえ“都筑さんと”なんて、限定的に恋愛する気がないことを伝えるのは失礼だったかもしれない。
本心だし、嫌われてもいいけれど、雰囲気を悪くしたくないと思って言ったのに、これでは逆効果だ。