週末シンデレラ
「あ、あの……っ、ごめんなさい。言い方が悪かったかもしれませんが、私はこういう場が不慣れで……慣れるために来たようなものなので、気になさらないでください」
これで係長の機嫌が直ればいいけど……。
チラリと係長のほうを見ると、顔は相変わらず無表情で怖いけど、わずかに目を丸くしていた。
「そうか。きみも大変なんだな」
「……都筑さん?」
怒らないんだ……。
思いもよらぬ返答に、わたしのほうが驚いて瞳を見開いてしまう。
「この場に俺がいるだけで飲み会の練習になるのなら手伝おう」
「えっ……? あ、ありがとうございます。でも、怒っていたんじゃ……」
あの厳しくて辛辣なことしか言わない係長が、初対面の女性に「手伝おう」と言うなんて……信じられない。つい疑うような視線を向けてしまう。
すると、係長は小さく首をひねり、怪訝な顔をした。
「俺が? どうしてそうなる。恋愛する気はないという俺の言葉で、きみは気分を害したんだろう? その結果として出た言葉なら俺が原因だ。怒るはずがない」
「はぁ……」
「もし怒っているように見えたなら、きみの思い違いだ。安心してくれ」
「は、はい……」
どうやら係長は怒っていないらしい。
それは意外だったけど……仕事以外でもこんな風に面倒くさいしゃべり方するんだ。
これじゃ彼女いなくても当たり前かも。……でも、怖くない。