週末シンデレラ
食堂のおばちゃんから受け取るおぼんには、エビフライが三本のっている。
「……一緒だ」
「なにが?」
「う、ううん! なんでもないっ」
三種類ある日替わり定食で、わたしと同じエビフライを注文していた……なんて、美穂に報告したところでどうなるというのか。
ていうか……同じものを食べているからって、なんで嬉しくなってるの。
たったそれだけのことで弾む気持ちが信じられず、うつむいて係長から視線を逸らしてみるけれど、顔をあげるとやっぱり彼の姿を探していた。
「……あれ? 係長って、営業部の部長と仲がいいんだ」
係長が窓際の席に座っていると、恰幅(かっぷく)のいい営業部の部長が、親しげに話しかけながら、隣の席に腰をおろしていた。
「うん、入社してから三年間は営業部だったらしいから、可愛がってもらったんじゃないの? あ、これも武田さん情報ね。わたしは係長に興味ないから」
「入社してから三年間……」
ということは、経理課にやってきたのは五年前――。
『まだ五年前のこと、引きずってんのか?』
一也さんが言っていた言葉が浮かぶ。ちょうどそのころに、なにかあったのだ。
「ていうか、係長のことより詩織のことでしょ。結局、どんな人だったの?」
「それが……か、係長だったの……」
「…………ああ、係長みたいな人だったってこと?」
「違うの。係長……本人だったの」
「え、えぇっ……!?」
美穂は目をパチクリさせながら、悲鳴のような声をあげる。
わたしは自分の変装から係長とホームで別れるまで、すべてを彼女に話すことにした。