週末シンデレラ


「へぇ……あの係長とねぇ……。だから、食堂で係長のこと見てたんだ。もしかして、惚ちゃったの?」
「そ、そうじゃないけど……ただ、ちょっと見直したっていうか……」
「うん、わたしも詩織から話を聞いただけだけど、係長を見る目が変わりそうだなぁ」

話し終えると、美穂は驚きながらも、どこか楽しそうだった。

美穂の係長を見る目がいい方向に変わるのは嬉しい。だけど、自分だけが知っている係長を共有したと思うと、少しだけ複雑だった。


事務室に戻ると、午後からの仕事も順調良くこなした。

武田さんから仕事を押しつけられないと、こんなにもスムーズなのだと感じる。今日は、定時には帰れそうだ。

あとは、この書類を片づけて、課長に提出して……。

デスクに置いた書類を見ながら、定時までに仕上げる業務の流れを考える。すると、都筑係長がわたしのほうへやってきた。

「加藤さん、給与の計算書はまだか?」
「給与の計算書……ですか」

毎月の給与は、計算書の作成を総務課でおこない、振り込みを経理課でおこなっている。

計算書はソフトを使って作成しているが、社員が多いため膨大な量となり、保険などの細かい変動もあるので、いつもわたしと武田さんのふたりで作成していた。

今日の午前中がタイムリミットだったので、わたしは金曜日には作り終えて武田さんに渡していたし、すでに総務課長のチェックを経て、経理課に渡っているとばかり思っていた。


< 53 / 240 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop