週末シンデレラ
「できました」
それから一時間もかからずに計算書を仕上げた。
都筑係長のもとへ持っていくと、彼は表情を少しも変えずにそれを受け取った。
「……山田さんの退職金は計算できているのか?」
「もちろんです」
「企画部の三宅さんと、システム部の笠井さん、引っ越しをして通勤手当が変わったそうだが」
「知っています」
「人事部の橋本さんは、振り込み先を今回から変更している」
「あっ……」
計算のことばかり気にしていたので、すっかり忘れていた。
「すぐに直します」
「いい。おもに経理で必要なことだ。こちらで直す」
「……すみません」
悔しい。完璧にして係長に渡したかったのに。
今日中に仕上げても係長が驚くとは思わなかったけれど、せめてねぎらいの言葉をもらえたら……なんて考えていた。
だけど、ミスをしてしまっては無理だろう。
「金銭に関わることは遅れもミスも許されない。しかも給料なんて、みんな過敏に反応する。落ち着いた環境で作業しなくてはいけないものだ」
「……はい」
結局、今日中に仕上げたって怒るんだ。
しかも、疲れているときに怒られると、普段よりも数倍へこむし、腹立たしくも感じる。
わたしがふてくされたい気持ちでいると、係長が咳払いをひとつした。