隣に座っていいですか?
「実の親とは違うでしょう。それにあんたも子供ができて、実の子と桜ちゃんを同じく扱えないかもしれない」

「ちょっと!」
声が荒くなる私を「よく聞きなさい」と押さえつけるお母さん。

昔からこのパターンだな。

「奥さんが亡くなってるってーのは、別れてるよりやっかいで、いい想い出しか田辺さんは浮かばない。田辺さんが昔の奥さんと比べるかもしれない、郁美が嫌な思いをするかもしれない。前の奥さんの重圧に負けて泣いて暮らすかも」

一気に言われた。

「お母さんは反対なの?」
半べそで聞くと
お母さんは首を横に振る。

反対じゃないの?

「お母さんとお父さんは、娘が一番可愛くて大切なの」

「もう大人だよ私」

「いくつになっても娘だもん。桜ちゃんも可愛いけど、うちの娘が一番可愛い。だから嫌な事やつらい事があったら、すぐ帰って来なさい」

凛とした声だった。

「あんたは頑固で意地っ張りで弱音を吐かない子だから心配なんだ。本当にどうしようもないくらい悲しくなったら、いつも帰る場所はあるんだからね」

「……うん」

「早く行きな。桜ちゃん待ってるよ」

元気な声に背中を押され
私は「ありがとう」って涙をこらえ

彼と桜ちゃんの待つ家に行く。


ありがとう

お母さん
お父さん

ありがとう。

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