隣に座っていいですか?

もやっとした気分で下に降り
冷蔵庫からビールを取り出し
プシュッと開け一気に喉へと流し込む。

広いリビングにただひとり

桜ちゃんも寝たし

寂しい……。

缶ビール片手に
田辺さんの仕事部屋をノック

「はい」

「あの……」

そこから浮かばない。

「家が広すぎて、ひとりじゃ寂しくて」
正直に言うと
笑い声が聞こえ扉が開く。

「散らかってますけど」
優しい顔を見てホッとし
中に入れてもらう。

そこは本が沢山ある部屋
本棚に難しそうな本が並び
机がふたつ
ひとつは図面とか辞書とか
書類関係やらが広がり
続いている机で田辺さんはお仕事

パソコン2台を器用に操り
分厚い本と
これまた大きな辞書。

目を丸くしていると
「ここにどうぞ」と言い
小さなソファを勧めてくれた

「ごめんなさい。仕事の邪魔なら……」

「大丈夫です」
彼は言い
私の飲みかけの缶ビールを奪い
美味しそうに飲み干す。

「あ……すいません」

いえ
貴方の家のビールですから。

「この部屋にずっといていいですか?」

貴方の傍にいたいから

「いいですよ」
彼は微笑み
また背中を向けて
仕事に戻ってしまった。
< 175 / 307 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop