隣に座っていいですか?
アルコールが緊張をほぐしてくれたのか、迷惑とわかっていながら、彼の背中に向かって語りたくなる私。
「田辺さん」
「はい。あ……ちょっと待ってて下さいね」
キーボードを叩いてから
彼はイスを回転させ
私の目の前に
やっと落ち着いて登場。
「はい。どうぞ」
どうぞ……って
「少し話していいですか?」
「もちろんです」
ウェルカムされたけど
あれ?
何を聞きたいのだろ私。
言葉が出ない。
今日は色々ありすぎた。
「……やっぱりいいです」
素直に言って
ズルズルと小さなソファから滑り台のように降り、床に座ると
「気になります」って言われ
彼も床に座り
私の腕を引っぱり
ソファに私をもたれさせ
顔を寄せて、頬を撫でてから
やっと
キスしてくれた。
「自分にセーブが効かなくなりそうで、郁美さんといると怖いんです」
柔らかな唇が
そっと何度も私の唇に重なる。
「一晩中抱いていたい。ずっと傍にいてほしい」
すっぽりと私を胸に抱き
熱い吐息が首筋にかかる
舞い上がってしまいそう。
「でもごめん。それは今じゃない。廊下を挟んで桜がいるし、籍も入れてない。僕の両親にも合わせてない」
ご両親に。
「きちんとした状況で郁美さんを迎えたい」
耳元で言われた。
田辺さん
そんな事思ってたんだ。
自分の考えが恥ずかしいわ。