隣に座っていいですか?
「僕も嫉妬した」

「え?」

涙で彼の顔がぼやける。

「桜の国語の宿題。①好きな人の名前を書く欄で、一番最初に桜が書いていたのは、僕でも亡くなった妻でもなく『いくちゃんママ』だった」

優しい顔が苦笑い。

「子供は正直だから、最初に大好きな人の名前を書く」

彼の唇が私の涙を止める。

「それでも、きゃりー……なんとかよりは上でよかったけど」
眉間にシワをよせる顔が楽しくて、私は笑うと

「やっと笑った」と、もう一度強く抱き

溶けるようなキスをする。

「全て吐き出してごらん」

魔法にかけるように
彼は言う。

「全て答える。郁美さんが納得できる答えを出してあげるから」

ここまで言われる私は幸せだと思う。

「正直に全て答えるから」

私は涙を拭き
何度も何度もうなずく。

「僕は嘘はつかない」

「うん」

「こんなにも愛してる」

止まった涙が
また溢れそう。

泣きすぎだけど
たまに
こんな日もあっていいかもしれない。

「夜は長いから」

「うん」

「不安を言ってごらん」

軽いキスを繰り返し
澄んだ優しい目が私を見つめていた。
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