隣に座っていいですか?
時間が流れる。

彼の腕の中
やっと涙が止まった頃

柔らかい声が響く。

「郁美さんが妻の立場なら、どう思う?」

「え?」

突然の質問に考えてしまう。

私が亡くなった奥さんの立場なら、どう思うだろう。

「残された夫と子供の面倒を見てくれて、自分の親が孫を迎えに来ても嫌な顔をせず、自分の仏壇を綺麗に飾ってくれている」

「……ありがたいと思う」

「だから、亡くなった妻もそう思ってる」

「そんな簡単なものでは」

「僕は亡くなった妻を忘れない」

わかっているけど
彼の口から直接言われると
心が苦しくなる。

「でもね。もう彼女は僕の一部になってる」

シルクのパジャマのボタンが
彼の指でひとつずつ外される。

「郁美さんと出会う前は、僕は彼女に対して『どうして僕を置いて死んでしまった』とか『これからどうすればいい』とか、酷い事ばかり言って、遺影の彼女の顔を暗くさせていた」

こらえきれないように
彼の唇が私の胸元に重なり

「でも今は彼女と話す時は、桜と郁美さんの話ばかりしている」

彼の舌が甘く動く

「桜の楽しい話。郁美さんの楽しい話。彼女の遺影は笑顔のまま」

全て脱がされ
彼の素肌が私を包む。

「この前、郁美さんが怒った時は彼女に相談していた」

「……紀之さん……ダメ……」

長い指が
一番敏感な部分をもてあそぶ

息が上がる

いつもより荒い動きに戸惑い
どうしていいのかわからなくなる。
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