白い金の輪


 そろそろ危ないかもしれないと言われ、私は出来るだけ夫の側にいるようにしていた。

 てっきり眠っているものだと思っていた。
 いきなり手を握られ、思ってもみない事を言われ、私は夫を見つめ返した。

 夫は笑みを湛えたまま、しみじみと言う。


「お母さんには苦労をかけたなぁ」

「……とっくに愛想を尽かされてると思ってたわ。お父さんこそ、私と一緒にいて辛かったでしょう?」

「何言ってる。おまえの伯母さんに散々頼み込んで、やっと会わせてもらったんだ」

「え?」


 そんな話は初めて聞いた。
 唖然とする私に、夫は今頃になって当時の経緯を話してくれた。

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