白い金の輪
当時の私は、毎朝洗濯物を干しに庭先に出ていた。
それを仕事で山に向かう夫が、通りすがりに毎日目にしていたのだ。
夫は私に一目惚れしたのだと言う。
会わせてくれるように伯母に頼んだら、最初は断られたらしい。
男に裏切られて傷ついているから、そっとしておいて欲しいと。
それでも諦めきれなかった夫は、一度でいいから話がしたいと何度も頼んだ。
無口で口べたな夫にしては、相当頑張ったのではないだろうか。
とうとう伯母も根負けして、私に話を通したのだ。
「嫁に来てくれると聞いた時は小躍りしたよ。辛いわけないだろう。一緒にいてくれるだけで幸せだった」
夫は一層目を細め、照れくさそうに笑った。
「ごめんなさい。私、あなたは伯母さんに頼まれて、仕方なく私を嫁にもらったんだと思ってたの。だから愛されてるとは思ってなかった」