白い金の輪
そして私は、その人と結婚する事になった。
彼が私を捜しているような気配は、一度もなかった。
伯母から結婚前夜、その人が私の事情を全て知っている事を訊かされた。
だからきっと優しく接してくれるはずだから、幸せになりなさいと。
男に裏切られた傷物の娘を憐れんで、伯母に頼まれ仕方なく嫁にもらったのだと思うと、悔しくて涙が溢れた。
けれど今さらどうしようもない。
夫となったその人は、初夜の床で初めて私に触れた時、眩しそうに目を細め穏やかに微笑んだ。
後にも先にも、夫のそんな笑顔が私に向けられたのはその時だけだ。