白い金の輪

 結婚して少しした頃、夫は突然木こりを辞めた。
 子供が出来れば金が必要になるから、もっと実入りのいい仕事に就きたいと言う。

 私たちは仕事を求めて、遠くの町へ引っ越した。
 以来、伯母とは疎遠になった。

 新しい町の造船所で、夫は古い船のサビ落としや船倉の掃除などをする、肉体労働の仕事に就いた。

 木こりより実入りはいいが、決して高給ではない。
 私も同じ造船所で働いた。

 けれど程なく私は妊娠し、肉体労働が出来なくなって仕事を辞めた。

 最初の子は女の子だった。
 翌年また、女の子を産んだ。

 結婚後も夫は、相変わらず無口で無愛想で、淡々と結婚生活を送っていた。
 けれど意外に子煩悩で、二人の子供を可愛がってくれた。

 三人目を身ごもった時、私は産むのをためらった。

 小さい子供を二人も抱えて、私はずっと働けずにいる。
 夫の安月給だけで、三人の子供を育てられるわけがない。



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