赤き月の調べ
残ったのは、そこそこ大きい割りに軽い段ボール。
不思議に思いながら、宛名を見ようとすると、タイミングよく店の電話が鳴った。
希空は自分の中で、三コール以内に電話に出ると決めている。
そして、今まで実践してきた。
今回も例外ではなく、一コール目が鳴り終わると同時に受話器をとった。
「はい、日没書店です。お電話ありがとうございます」
相手が誰であろうと、すぐに用件を書けるようにメモとペンを引き寄せたところで、希空は電話の向こうから聞こえてくる小さな笑い声に気がついた。
「まったく……その声はリマでしょ?」
「あら、わかっちゃった?」
「当たり前でしょ。電話に出て、一番最初に笑い声が聞こえてくるなんてことは、リマからの電話の時以外にはないんだから」
希空はペンを置くと、こめかみを揉んだ。