赤き月の調べ
冷静になって、改めて車を発進させようとサイドミラーに目を向けて、朔夜は思わず凍りついた。
書店が入るビルの出入口で、明らかにたちの悪い吸血鬼グループが屯している。
出入口を気にしては、何かを耳打ちし合う。
本とは無縁な連中が、いったい何の用があってあの場所にいるのかと考えただけで、苛立ちが一気に怒りに変わった。
今すぐレンのところに戻って、本を投げつけてやりたい気分だったが、エンジンを切ると静かに夜の闇に溶け込んだ。