赤き月の調べ
黒に近い血を流しながら膝を折った男から視線を反らし、残る二人に鋭い視線を向ける。
自分の持つ力を隠しもせずにいると、ようやく悟ったのか男たちは後ずさった。
「まさか、あんた……」
「いま目の前から消えるなら、今夜は見逃してやる」
そう凄みながら言ってやると、情けない声を上げながら男たちは逃げていった。
無様な後ろ姿を見送った朔夜は、腕の中でぐったりとする希空に目を向けた。首からの出血は多くないが、まだ傷口の血は固まる気配はなく、頭がくらくらしてくる。
何度も犬歯が下唇を突っつき、今すぐ糧を摂れと囁いてくるが、苦労しながら凶暴なまでの理性を押さえつけた。
すると、希空の鞄から音楽が流れてきので、朔夜は鞄を探って携帯電話を見つけた。
液晶画面には『黒栖リマ』という名前が表示されている。