noir papillon
「し、死ぬ……もう、無理……」
ゼェゼェと荒い息を吐くのは木陰に倒れ込むハル。
体中ずぶ濡れで泥だらけ、服は破れ焼けている部分はあるが傷は1つも負っていないようだ。
「まったく、だらしないぞ君は」
寝転ぶハルの顔に水をかけるのは彼をこんな目にあわせた張本人カナメ。
呆れたように溜め息を吐くとドカリと隣に腰掛ける。
「これでわかっただろ、俺は足手まといだって事……」
「う~ん……そうだね!」
顔を拭いながら胡座をかくハルの言葉に一度考えたカナメはニコリと微笑みながら親指を突き立てる。
自分から言いだした事だがその答え、正直傷つくぞ。
「でも大丈夫。まだまだ時間はたっぷりある。その時がくるまでに俺が立派に成長させてやるさ!」
ハルの肩に腕を回しポンポンと叩く彼は有無を言わさぬ威圧感を身に纏う。
こんなハードでスパルタな特訓が続くのかと思えば、引きつった笑みしかでてこない。
ハルは独り心の内で思う。
お願いだから解放してくださいと。