不誠実な恋
「ミチル、噂のメガネが窓の外」
「えっ!?」
慌てて身を乗り出すミチルの腕を掴んで勢いを緩和させ同じ様に身を乗り出したあたしを逸早く見つけたのは、やはり自分の彼氏の方だった。
「おい、お前、俺に何か返す物があんじゃねぇのか?」
「はい?そんなもんは無いけど」
「バーカ。原稿だ、原稿。何処持って行きやがった」
「さぁ。あたしは知らんよ。机の上に置いとったんちゃうん?」
「マジかよ!やっべ。おい、侑士。遊んでる場合じゃねぇぞ!」
途端に焦り出した彼に未だじゃれ合って絡み付いているメガネ男子。この人こそが、あたしの親友の想い人。
常に冷静沈着を決め込み、女の子に対しては特別優しいこの男は、校内でも一、二の人気を争うちょっとした有名人だった。
「メイちゃん、あんまサクちゃん苛めたったら可哀想やで」
「いや、苛めてへんから」
「ホントにお前じゃねぇんだろな?」
「せやから違うって。ご希望ならば一緒にお探ししましょか?サ・ク・ちゃん」
「煩せぇ!とっとと下りてきやがれ!」
所属するテニス部内では完全無欠と謳われる朔也であっても、さすがに式の一時間前になっても答辞の原稿が見当たらないとなると焦ってくるのだろう。
本人はあたしが持っていると思っていたのだから、その事実を突きつけられ相当困惑していた。
その証拠に、常に悠然とした態度でその場をやり過ごしている彼が、中庭から三階にあるこの場所まで耳を傾けなくとも聞こえるような大声で、部の練習中にギャラリー席の上段からコートの隅っこでたらたらと球拾いをしている不届き者を叱責するような怒鳴り声を上げているのだから。
逆ギレだとかあたしは関係無いとか、そんな尤もな主張をすることは許しもされずに。
「行きましょか、ミチルちゃん。帝王様がお怒りやわ」
「大変だねぇ、メイも」
「これから大変なんはミチルの方やろ?絶好のチャーンスってね」
そんな一言で目を泳がせてしまうような小心者の手を引き、残り時間を答辞原稿の捜索活動に費やす覚悟を決めた。
それが終わったら慰めてやろう。と、チャンスを作る側としてあるまじき考えを頭の片隅に追いやりながら。
「えっ!?」
慌てて身を乗り出すミチルの腕を掴んで勢いを緩和させ同じ様に身を乗り出したあたしを逸早く見つけたのは、やはり自分の彼氏の方だった。
「おい、お前、俺に何か返す物があんじゃねぇのか?」
「はい?そんなもんは無いけど」
「バーカ。原稿だ、原稿。何処持って行きやがった」
「さぁ。あたしは知らんよ。机の上に置いとったんちゃうん?」
「マジかよ!やっべ。おい、侑士。遊んでる場合じゃねぇぞ!」
途端に焦り出した彼に未だじゃれ合って絡み付いているメガネ男子。この人こそが、あたしの親友の想い人。
常に冷静沈着を決め込み、女の子に対しては特別優しいこの男は、校内でも一、二の人気を争うちょっとした有名人だった。
「メイちゃん、あんまサクちゃん苛めたったら可哀想やで」
「いや、苛めてへんから」
「ホントにお前じゃねぇんだろな?」
「せやから違うって。ご希望ならば一緒にお探ししましょか?サ・ク・ちゃん」
「煩せぇ!とっとと下りてきやがれ!」
所属するテニス部内では完全無欠と謳われる朔也であっても、さすがに式の一時間前になっても答辞の原稿が見当たらないとなると焦ってくるのだろう。
本人はあたしが持っていると思っていたのだから、その事実を突きつけられ相当困惑していた。
その証拠に、常に悠然とした態度でその場をやり過ごしている彼が、中庭から三階にあるこの場所まで耳を傾けなくとも聞こえるような大声で、部の練習中にギャラリー席の上段からコートの隅っこでたらたらと球拾いをしている不届き者を叱責するような怒鳴り声を上げているのだから。
逆ギレだとかあたしは関係無いとか、そんな尤もな主張をすることは許しもされずに。
「行きましょか、ミチルちゃん。帝王様がお怒りやわ」
「大変だねぇ、メイも」
「これから大変なんはミチルの方やろ?絶好のチャーンスってね」
そんな一言で目を泳がせてしまうような小心者の手を引き、残り時間を答辞原稿の捜索活動に費やす覚悟を決めた。
それが終わったら慰めてやろう。と、チャンスを作る側としてあるまじき考えを頭の片隅に追いやりながら。