不誠実な恋
中庭へ下りてみると、それはもう面白すぎて噴き出してしまうほどに朔也がうろたえていて。
のんびりと空を見上げながら近付いて行ったあたしは、無関係にもかかわらず一緒に探してやろうと申し出た協力者である筈なのに、苛立つ帝王様にお叱りを受けた。

「おっせぇんだよ!」
「すいませんねぇ、何せ朔也と違って足が短いもんですから」
「あんだとぉ?」
「はいはい。すいません。どうも申し訳ございません」
「謝ってる暇があるなら探せ。もう一時間きってんじゃねぇか」

如何なものだろうか。協力者に向かってこの態度は。
朔也らしいと言えばそれまでなのだけれど、それで済ませて良いものなのだろうか。と、少しだけ思案し諦めという感情を溜息として深く体外に吐き出した。

「苦労すんなぁ、メイちゃんも。俺やったらこんな苦労させへんのに」
「ははっ。ご冗談を」

この時、気付けば良かったのに。と、後になってどれほど後悔したことか。
今更言ったとしてもタイムマシンでもない限りは如何しようもない事なのだけれど、ボソリとすれ違い様に呟いた侑士の言葉を戯言で片付けてしまうんじゃなかった…と。
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