猫 の 帰 る 城
僕はそのまま真優をベッドに押し倒した。
服を脱ぎ捨てると、戸惑う真優の首の付け根に唇をつけた。
真優の肌はとても柔らかい。
舌先で刺激すると、そのまま沈み込んでいくようだ。
それなのに、今、僕が思い出しているのは小夜子の薄い肌だった。
向こう側が透けてしまうくらい、張りつめた白い肌。
そのまま鎖骨に舌を滑らせると、身体が震え、声が漏れた。
小夜子の声よりも少し高い、真優の声だ。
その真っ直ぐに伸びる声が消え、僕の耳元では、ときどきかすれる甘い声が再生される。
ニットの裾から手を入れると、柔らかな肌が硬くなる。
小夜子のそれより少し豊かな真優の胸に触れると、また息が漏れた。
僕の意識から、強張る真優の身体が遠のいていく。
いま目の前を支配するのは、脳裏に焼き付いた記憶の中の彼女だ。
自由自在に形を変える飴のような、性に柔軟な身体だ。
白い肌が紅潮する。
長い腕が伸びてきて、僕の頬にそっと触れる。
―――ヒロト
甘くかすれるその声が、耳元で荒く震える。
僕の指先にぴたりと吸い付き、感覚を重ね合わせる
―――もっと、
吐息が囁く
自らの身体を快楽に寄せていく
僕の意識をえぐるように、小夜子は歯を立てる。
滅茶苦茶に乱れて、でたらめにキスをして、僕の名前を呼ぶ
巨大ビジョンで見せた微笑みが、次第に息を荒くし、恍惚の顔に変わる。
消せなかった記憶と、鮮やかな映像が迫り重なって乱れた。
頭がどうにかなりそうだ。
獰猛な快感が、僕の身体を駆け抜ける。
興奮に脈を打つ心臓の、もっともっと奥のほうで、ひどい吐き気がした。
自分では制御できない大きな塊が、僕の胸を、喉を、詰まらせる。
これを吐きだせば、楽になる。
せり上がる快楽に僕は従順だった。
夢と現実が一緒くたになって、頭の回線をめちゃくちゃにする。
その曖昧さに呑まれたとき、僕はきつく目を閉じた。
瞼の裏の、小夜子が震えた。