聴かせて、天辺の青


まずは店を開けなければ。



必死に品出しする私たちの様子を、ぱらぱら集まったお客さんたちが店の外からガラス越しに見ていく。声が聞こえる訳じゃないけど急かすような視線が痛くて、やたら焦るばかり。



見られることが好きな人ならいいのかもしれないけど、私には単なる苦痛でしかない。



隣の通路では、彼が配送箱から野菜を出しては黙々と手際よく並べてる。店の外で待つお客さんたちに見られていることなんて、全く気にならないらしい。



さっき彼を見ていた女性たちの姿もあるというのに。



彼女たちは地元の人だろうか。
まるで彼を知っているかのような様子だったけれど……



店内に入ってきたら、こっそり尋ねてみようか。
などと思いながら空になった配送箱を台車に載せて運んでいると、くいっと腕を引っ張られた。



余計なことを考えていただけに、体が跳ね上がる。



「瑞香、あそこに置いてる箱も一緒に持って行っておいて。そろそろ開けるから」



振り向いたら、海斗だった。
店の隅に重ねてある配送箱を指さしている。




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