聴かせて、天辺の青
彼が何かを確かめるように小さく頷いて、海斗へと視線を移す。
「俺が送ります、それでいいですか?」
ぼそっとした遠慮がちな声だったけど、私には彼の力強さと優しさが感じられた。
気にかけてもらえているという気持ちも少しだけある。みんなに迷惑をかけてしまっている事実を忘れてしまいそうなほどに。
「ああ……でも、どうやって送るんだ? 二人乗りなんて絶対にやめておけよ」
納得しそうになっていた海斗が、怪訝な顔をして厳しい言葉を口にする。そこまで考えていなかったのか、彼は黙り込んでしまった。
とっさに出てきた言葉だったとしても私には嬉しい。なんとかしようと彼が考えてくれていることが何よりも。
さらに海斗まで腕を組んで首を傾げて、二人で悩み始めてしまう。
私も、何かいい策はないかと考えを巡らせる。
「わかった、おばちゃんに車借りるよ。日中は車使ってないから、きっと貸してもらえるはず」
思いついたのと同時に言葉が出ていた。
海斗と彼が驚いた顔をしているのは、私の声に対してだろう。言った内容よりも、きんと響いた私の第一声が頭の中を占めているに違いない。